AIシステムを支える基板技術|プリント基板、基板設計、部品内蔵基板、部品実装、PWB、プリント基板の「富士プリント」

技術情報

トップページ > AIシステムを支える基板技術

AIシステムを支える基板技術

AI技術の進化に伴い、AIシステムを支える基板技術も急速に発展しています。AI基板は、特に高速処理能力、高効率な電力管理、高信頼性を必要とするAI専用ハードウェア(例:AIプロセッサ、エッジデバイス、データセンター用基板)に適しています。以下に、AI基板の特徴、使用される技術、材料、応用分野について解説します。

AI基板の特徴

AI基板は、通常の基板に比べて以下の特性が求められます。

  • 高周波対応:AIプロセッサや高速通信機能(例:PCIe、SerDes)に対応するため、信号損失を抑える必要があります。
  • 高電流対応:AIアクセラレータ(GPUやTPU)は高い電力を消費するため、大電流に対応した電力供給設計が必要です。
  • 高熱伝導性:AIチップの発熱量が大きいため、効率的な熱管理が重要です。
  • 多層化と高密度配線:多機能かつ小型のシステムを構築するため、微細加工技術が求められます。

AI基板に使用される主な技術

AI向け基板には、以下のような高度な技術が使用されます。

(1) エンベデッド部品基板(EPC)

概要:基板内部に受動部品(抵抗やコンデンサ)やセンサーを埋め込む技術。
メリット:回路設計をコンパクト化。高速信号伝送と電力効率の向上。

(2) 高密度配線基板(HDI)

概要:微細な配線とビア(穴)を用いて、回路の高密度化を実現。
用途:AIアクセラレータやSoC(システムオンチップ)に対応。

(3) ビルドアップ基板

概要:層間接続を高精度で行う技術。任意層での接続が可能。
メリット:配線距離の短縮。高速伝送性能の向上。

(4) シリコンインターポーザー

概要:チップ間接続の中間層として、シリコン基板を採用。
用途:3D ICパッケージング(例:HBMメモリ+AIプロセッサの統合)。

(5) 熱管理技術

概要:サーマルビア、金属コア基板、放熱パッドを活用。
用途:AIアクセラレータや高電力デバイスでの熱拡散。

AI基板に使用される主な材料

AI基板では、高周波特性、熱特性、電気特性を考慮した材料が使用されます。

(1) 高Tg FR-4

特徴:標準的な基板材料。Tg(ガラス転移温度)が高いものを使用。
用途:汎用AIデバイス。

(2) BT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂

特徴:低誘電率で熱伝導性に優れる。
用途:高速通信モジュールやAIプロセッサ。

(3) ロジャース(Rogers)材料

特徴:低誘電率(Dk)と低損失係数(Df)。
用途:高周波対応基板。

(4) セラミック基板

特徴:高い熱伝導性と耐熱性。
用途:高出力AIアクセラレータやデータセンター向け。

(5) 銅基板・アルミ基板

特徴:高い熱伝導性と耐電流性能。
用途:AIプロセッサや高発熱デバイス。

AI基板の応用分野

(1) データセンター

用途:AIアクセラレータ(GPU、TPU)用の高密度基板。高速通信モジュール(400G Ethernet、光モジュール)。
要求特性:熱管理性能と高信号伝送性能。

(2) エッジデバイス

用途:AI搭載のIoTデバイス、スマートホーム機器。自動音声認識や画像処理用の小型AIチップ。
要求特性:低コスト、小型化、高密度化。

(3) 自動運転・車載AI

用途:AIベースのADAS(先進運転支援システム)。高速データ処理用の車載プロセッサ。
要求特性:高信頼性、耐熱性、耐振動性。

(4) AIロボティクス

用途:ロボットのリアルタイム制御、画像認識。
要求特性:低遅延、高速処理基板。

AI基板のトレンド

(1) チップレット技術

基板上で複数のチップをモジュール化し、高密度配線で接続。
AMDやIntelが推進するトレンド。

(2) 3Dパッケージング

立体的な基板設計で、多層チップやメモリを統合。

(3) 再生可能材料の使用

環境負荷を低減するため、リサイクル可能材料や鉛フリーの採用。

AI基板は、高速処理、高周波対応、熱管理、多層化技術が重要なキーポイントです。データセンターやエッジデバイス、自動運転車両など幅広い分野で需要が拡大しており、材料選定や設計技術が性能を左右します。今後もAIの進化に伴い、基板の高度化が加速すると考えられます。

少量多品種中心のもの作りをサポートとするしくみ

  • 試作~製品化まで丸投げしたい
  • ガーバーデータを送って最短で試作の依頼をしたい
  • 小中ロットでも快く引き受けてくれる業者を探している